医学生の感想

平成27年8月19日から21日までの3日間、県内出身等の医学生が地域医療の現場を実際に体験する地域医療ガイダンスが行われました。
当院での地域医療ガイダンスに参加した泉摩依さんの感想文を紹介します。

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宮崎大学医学部医学科 泉 摩依

地域医療ガイダンス 小林市立病院実習 感想文

 この度は宮崎県および宮崎大学地域医療学講座主催の地域医療ガイダンスに際し、私達学生を小林市立病院での実習に受け入れて頂き誠にありがとうございました。職員の皆様に大変なご配慮をいただき、お陰様でとても密度の濃い3日間の実習となりました。

 実習では各病棟や外来、各施設の見学に始まり、実際の手術の見学、外来診療の見学、病棟回診や術前カンファレンスへの参加など、私達のような低学年ではなかなかできない経験を数多くさせていただきました。実際に病院がどう動いており、どういった職種の方がどのような役割・目的を持って働いているのか、こういった点は学校で教科書に向かっているだけでは目に入ってこないことであり、とても貴重な体験となりました。

 この実習を経て様々な学びを得ましたが、中でも1.多職種連携・チーム医療の本当の意味、2.地域医療における住民の理解と病院との協力の重要性、の2点が特に印象深く残っています。
 まず、医師、看護師、作業療法士、管理栄養士、検査技師、救急救命士、事務等、様々な職種の方にお話を伺いその現場を見たことで、病院や医療において多職種がそれぞれの役割を果たす意義について理解が深まりました。これまで私は”多職種連携”や”チーム医療”という言葉について、”様々な職種が患者さんのケアに関わること”という漠然とした考えしかありませんでした。しかし例えば、小林市立病院では、管理栄養士が医師や他の職種との情報共有を念頭に置きつつ病棟での患者さんの栄養管理を一手に引き受けており、それによって治療面と、医療のベースとなる患者さん本人の栄養状態の改善が効率よく効果的に行われていることを知りました。これらを通して、本当の多職種連携は専門職が機能を絞り込んでそれぞれの業務に特化することで、提供できる医療の質の向上と効率化を進めることができることであると学びました。

 また、徳田院長を始め、多くの医師や様々な職種の方が、小林の地域医療について小林市立病院が中核病院として地域で果たすべき役割や、医師不足から住民の要望に応えきれない現状を至るところでお話くださいました。そしてその中で、小林において市民の間で医療への理解が高まりつつあり、それによって、例えばコンビニ受診といえるような受診が減ったことで病院が本当に必要な医療の提供を少しでもより効率的にできるようになってきていることをお話くださいました。市民による地域医療に関する活動である「地域医療を考える会」の方々にもお話を伺い、住民の方々による医療への深い理解が地域での医療を回す上でどんなに意味のあることかが深々と伝わってきました。市民と病院が相互に協力していくために医療者は何をすべきか、そのために学生として何を考え学ぶべきなのか、この視点と、またその答えのヒントを様々に見つけられたことをとても有意義に感じました。

 何より、病院で働かれている皆様の笑顔の絶えない、そしてそれぞれの仕事や患者さんに対する熱意ある働き方に、医療者として将来働けることをとても楽しみに思いました。そのような医療者を目指し、今後さらに勉学に励みたいと思います。
 お忙しい中親身な指導をいただいた、医師の先生方を始めとした様々な職種の皆様、丁寧にご対応いただいた事務の皆様、地域医療を考える会の皆様、その他支えていただいたすべての皆様に感謝申し上げます。とても楽しかったです。ありがとうございました。

宮崎大学医学部医学科2年  泉 摩依